『ジグ』 | 徒然なるままに詩を想う。。。

『ジグ』

君の名は何だい?
男はつぶやく
無口な猫は
眼を見つめたまま

その傷はどうした?
男は続ける
無口な猫は
足引きずったまま

守るべき者など
俺には無いのさ
君も同じなんだろ
生きる意味探しているんだろ

寂しくないなんて言えば
それはきっと嘘になる
振り返らないなんて言えば
余計に気になる

側に居てくれよ
どうか頼むよ
無口な猫が口を開いた
壁は崩された

君に名をつけよう
男は空を見る
小柄な猫は
眼を見つめたまま

こんな名はどうだい?
男はジグと呼ぶ
小柄な猫は
首を傾げたまま

守るべき者など
無いと言った俺だが
多分違う気がする
失った事忘れたいんだろ

怖くは無いなんて言えば
それはきっと嘘になる
再び無くす事思えば
余計に気になる

側に居てくれよ
ずっとずっとだ
一鳴きだけした猫
迷いの無い声

守るべき者など
無いと言った俺だが
それは嘘に終わった
君が側に居る限り

怖くは無いなんて言えば
それはきっと嘘になる
再び無くす事思えば
余計に気になる

側に居てくれよ
男はつぶやく
ヒザの上の猫は
静かな寝顔で

小さく頷いた
確かに頷いた