『戦場の猫』 | 徒然なるままに詩を想う。。。

『戦場の猫』

降り止まない雨を浴びて
少年はふと空を見上げた
いつまで続くのだろうか
この雨もこの争いも…

全身に雫を纏った
気にする事無く前を見つめる
張り詰めた空気を裂いた
小さな猫の鳴き声

無垢な瞳に時を
少しだけ奪われて
すぐに我に戻った
そんな時じゃないのに

少しだけ命を
思い出してしまった
奪ったり奪われたりの
今は必要ないのに

少しだけ生きたいと
思い始めてしまった
そんな保障はどこにも
無いと分かってるのに


降り止まない雨はまるで
二人の距離縮めるように
いつまでも舞い降りた
濡れる…側においでよ

全身で猫を包んだ
この子の震えが止まるように
緩やかな空気を裂いた
銃弾の響く音

無垢な瞳に時を
少しだけ奪われて
すぐに我に戻った
そんな時じゃないのに

少しだけ命を
守りたいと思った
少年は安らぎよりも
猫の命選んだ

少しでも遠くに
逃げてもらえるように
強く猫を叩いたのに
動こうとしなかった

少年は胸を痛めた
そんな時じゃないのに

猫の足元に銃を
向けて一度放った
悲しそうな声を上げて
猫はその場を離れた

銃声に誘われて
無数の近寄る足音
目を閉じた少年の耳
猫の声が聞こえた